小学生の創造力を育てる画材の選び方|学年別の目安と表現に合う画材

家族でクレヨン、パス、色鉛筆、水性マーカー、水彩絵の具、筆、さまざまな紙を見比べている様子

「子どもには、どんな画材を用意すればよいのだろう」「学年が上がったら、色数の多いセットや本格的な絵の具が必要なのだろう」と迷うことはありませんか。

クレヨン、色鉛筆、水彩絵の具などには、それぞれ異なる描き心地と得意な表現があります。
同じ花を描く場合でも、はっきりした線で形を表したいのか、色を重ねるのか、水でにじませるのかによって、適した画材は変わります。

画材を選ぶときは、学年を目安にしながら、子どもの経験や画材の扱いやすさ、表現したいことに目を向けることが大切です。

選んだ画材で「こうしたらどうなるかな」と試せる環境を整えることで、子どもが自分なりの表し方を考える機会をつくれます。

この記事では、学年別の選び方をはじめ、主な画材の特徴、描きたい表現との組み合わせ、紙や筆の選び方まで紹介します。
家庭で無理なく使い続けられる画材を、子どもと一緒に考えてみましょう。

目次

創造力を育む画材選びで大切にしたいこと

試し描き用の紙で線の太さや色の広がり方を比べている様子

画材の違いを知ることが、新しい表現を試すきっかけになる

本記事でいう創造力とは、感じたことや思いついたことをもとに、表し方を考え、試しながら工夫する力を指します。
見本どおりに仕上げることや、実物そっくりに描くことだけを意味するものではありません。

画材には、線を描きやすいもの、広い面を塗りやすいもの、水を加えると色の広がり方が変わるものなどがあります。
こうした違いを確かめる活動では、描いた結果を見ながら、次にどのように使うかを考えます。

例えば、水彩絵の具でできたにじみを見て「雲みたいだ」と感じ、そこから空の絵に広げることもできます。
最初に完成形を決めるだけでなく、手を動かす途中で思いついたことを取り入れる楽しみ方もあるのです。

ただし、特定の画材を買うだけで創造力が伸びるわけではありません。
道具を用意した後は、子どもが自分で選び、試せる時間や場所をつくることも大切です。

子どもの「描きたい」「試したい」を画材選びの手がかりにする

画材を選ぶときは、「何を描きたい?」に加えて、「どんな感じにしたい?」と聞いてみると、必要なものを考えやすくなります。

「虫の脚を細く描きたい」「海を大きく塗りたい」「いろいろな色を混ぜてみたい」など、表現したいことによって、使いやすい画材や用具は異なります。
まだ描くものが決まっていなくても、「この色が好き」「この筆を使ってみたい」という関心をきっかけに始めて構いません。

うまく言葉にできないときは、小さな紙に試し描きをして比べてみましょう。
大人が用途を限定するのではなく、いくつかの候補から子ども自身が選べるようにすると、その後の活動にもつなげやすくなります。

使い慣れた画材も、使い方を変えると楽しみ方が広がる

表現を広げる方法は、新しい画材を増やすことだけではありません。

例えば、いつもの色鉛筆でも、芯を細く削って描く、芯の側面を使う、弱い力で色を重ねるなど、使い方を工夫できます。

同じ画材で紙を変えてみたり、一つの色だけで濃淡を試したりする方法もあります。
「どの使い方が好きだった?」と、描いた線や塗った色を一緒に見比べてみるのもよいでしょう。

使い慣れた道具は、新しい表現を試す出発点にもなります。
買い足す前に、今ある画材で試してみたいことを探してみてください。

【学年別】小学生の特徴に合わせた画材選びの目安

小学生の特徴に合わせた画材選びの目安

小学校の図画工作では、低学年で身近な材料や用具に慣れます。
中学年以降は、それまでの経験を生かし、表したいことに合わせて使い方を工夫していきます。

材料や用具は、必要に応じて対象となる学年より前に初歩的な形で取り上げ、その後の学年でも繰り返し扱うことが示されています。

参考:文部科学省「小学校学習指導要領解説 図画工作編」

以下は、この考え方を参考にした家庭での選び方です。
学年によって使える画材を限定するものではありません。
同じ学年でも、経験や興味、手の動かしやすさには違いがあります。

低学年〈1・2年生〉|描く感触や色の違いを楽しめる画材

低学年向けの家庭用画材では、まず「持ちやすいか」「無理に力を入れなくても描けるか」「自分で取り出しやすいか」を確認しましょう。

クレヨンやパスは、水やパレットを用意せずに描き始められる画材です。
軸の太さや長さ、硬さは製品によって異なるため、年齢表示だけでなく、実際に持ったときの様子も選ぶ手がかりにします。

色鉛筆が好きで使い慣れている子なら、その好みを大切にして構いません。

太めのパスで大きな紙に描く

絵の具を使う場合は、大人が必要な色を少量出しておく、倒れにくい筆洗を用意するなど、準備を支える方法があります。
最初からチューブの扱い、混色、筆洗いをすべて一人で行う必要はありません。

例えば、大きめの紙に太い筆で線を引き、その線をきっかけに思いついたものを描き足す活動なら、細かな形を整えることにこだわらず取り組めます。

本人が描きたいものや、楽しんでいる描き方に合わせて画材を用意しましょう。

中学年〈3・4年生〉|色や使い方の違いを試せる画材

中学年では、使い慣れた画材に加えて、色のつくり方や道具の使い分けを試せるようにしてみましょう。

文部科学省も、水彩絵の具を、中学年以降の児童が形や色を表すのに適した用具として示しています。
また、混色や重ね塗り、にじみ、ぼかしなどの表現を紹介しています。

参考:文部科学省「水彩絵の具」

水彩絵の具を混色している様子

家庭では、作品用の紙とは別に、色や筆の動きを試す紙を用意しておくと便利です。

同じ青でも水の量を変えてみる、同じ葉を色鉛筆と絵の具で描き比べるなど、一つの違いを意識して試せます。 

「もっと濃い色にしたい」「この部分だけ細く描きたい」と本人が感じたときは、別の使い方や画材を一緒に探してみましょう。 

セットを一度に増やすよりも、やりたいことに合わせて必要なものを足すと、選ぶ理由が分かりやすくなります。

高学年〈5・6年生〉|表したいことに合わせて選び、組み合わせる画材

高学年では、どんな印象の作品にしたいかを本人と話しながら、画材を選ぶ機会を増やしてみましょう。

例えば、好きな生き物を細かな模様まで描きたいなら色鉛筆、雨の日の空気をやわらかく表したいなら水彩絵の具など、表現したいことに合わせて候補を考えます。
背景と細部で画材を変える方法もあります。

一方で、高学年だからといって、クレヨンやパスを使わなくなる必要はありません。

水彩の背景に色鉛筆で細部を描き加えている

慣れた画材の特徴を生かし、重ね方や色の組み合わせを工夫することもできます。
新しい画材が必要かどうかは、本人の関心や制作の目的に応じて判断しましょう。

また、見たものを正確に描くことだけを成長の基準にしないことも大切です。
想像上の世界を表したり、形や色の組み合わせを楽しんだりするなど、子どもが大切にしている表現にも目を向けてください。

小学生が使う主な画材の特徴と違い

クレヨンとパス|似ているようで描き心地が異なる

クレヨンとパスの比較

クレヨンとパスは、どちらも棒状の画材ですが、硬さや色の広がり方が異なります。

一般的にクレヨンは比較的硬く、線を描くのに向いています。
一方、パスはやわらかく、広い面を塗ったり、紙の上で色を混ぜたりするのに適しています。

サクラクレパスによる比較でも、クレヨンは線描やこすり出しに適し、クレパスは面塗りや混色に適しているとされています。
ただし、配合や描き心地は製品によって異なります。

参考:サクラクレパス「写真でわかるクレヨン・クレパスの違い」

ここでいう「パス」は、オイルパステルと呼ばれる画材を指します。
「クレパス」は、オイルパステルの一つである株式会社サクラクレパスの登録商標です。

参考:サクラクレパス「クレパス100周年特設サイト」

選ぶ際は、描きたい線や面に適しているかを確認しましょう。
あわせて、握りやすさや折れにくさ、手につく感触、使い終わった後にケースへ戻しやすいかどうかも確かめてください。

やわらかな画材の感触を楽しむ子もいれば、手につくことを気にする子もいます。
本人の使いやすさを見ながら選びましょう。

色鉛筆|細かな線や色の重なりを楽しむ

色鉛筆は、芯の先を細く削ることで、線や模様を描いたり、弱い力で色を重ねたりできるようになる画材です。

芯の削り方、持ち方、筆圧によって、線の太さや色の濃さを変えられます。

参考:
三菱鉛筆「色鉛筆『toirono』プレスリリース」

色鉛筆で昆虫の脚や模様を細かく描いている

植物の葉脈、服の模様、動物の毛並みなど、細かな部分を描きたいときの候補になります。
また、水を使わず、短時間でも取り出して使いやすい点も、家庭での使用に適しています。

選ぶ際は、芯の硬さや発色、軸の太さや形を確認しましょう。
色を出すために強く押し付けて描いている場合は、より少ない力で色が出る製品を試すか、別の紙を使ってみてください。

反対に、大きな紙の背景を細い芯だけで塗り続けると、時間や手間がかかります。
「塗るのが大変」と感じているなら、背景だけ絵の具やパスを使うなど、描く範囲に合わせて組み合わせるとよいでしょう。

水性マーカー|はっきりした線や色で描く

水性マーカーには、細いペン先や太いペン先、筆のようにしなるペン先など、さまざまな種類があります。
くっきりした線や模様を描きたいときは、描く大きさに合う線幅を選びましょう。

購入前には、ペン先の太さだけでなく、キャップを自分で開閉できるか、机の上で転がりにくいかも確認してください。
使う紙との相性によって、線のにじみや裏抜けの程度が変わります。

水性マーカーではっきりした線や大きな模様を描いている

初めて使うときは、下敷き用の紙を敷いたうえで、小さな範囲に試し描きしてみましょう。

「水性」は、衣服についたインクが必ず水で落ちるという意味ではありません。
「洗濯で落とせる」と表示された製品でも、生地の種類やインクの色によっては、落としにくい場合があります。

参考:サクラクレパス「洗たくでおとせるふとふとマーカー」使用上の注意

また、水性マーカーには、水でにじみやすいものと、乾いた後は水でにじみにくい耐水性を備えたものがあります。
水彩絵の具と組み合わせるときは、線を残したいのか、にじみを楽しみたいのかを考え、製品の表示と試し描きで確かめましょう。

参考:サクラクレパス「ピグマ」

水彩絵の具|混色や水の量による変化を楽しむ

水彩絵の具は、水を加えて濃さを調整し、筆などで描く画材です。
パレットで色を混ぜるほか、塗った色が乾く前に別の色を置いたり、乾いてから別の色を重ねたりすることで、さまざまな表情を試せます。

同じ青でも、水を多くすると淡く、少なくすると濃く塗れます。

例えば、空を淡く塗りたいのか、看板のようにはっきりした色面にしたいのかによって、水加減や塗り方を変えます。

学校用の水彩絵の具には、サクラクレパスの「マット水彩」のように、水の量によって透明感のある表現にも、不透明感のある表現にもできる製品があります。

画材店で販売されている「透明水彩」と学校用の水彩絵の具が、必ずしも同じ性質を持つとは限りません。

参考:サクラクレパス「水彩絵具の組成、種類、特徴」

家庭で最初にそろえる一組としては、学校で使い慣れている種類も候補になります。
チューブを押したときに少量ずつ出せるか、ふたを閉めやすいか、単色で補充できるかなどを確認しましょう。

また、一般的に耐水性のない水彩絵の具は、乾いた後でも水に触れると再び溶けます。
作品を水のかかる場所に飾る場合や、濡れた筆で作品の表面を何度もこする場合は、注意が必要です。

参考:ぺんてる「水彩えのぐについて」

水彩色鉛筆など|興味に合わせて表現を広げる

水の量を変えた水彩絵の具の淡い色・濃い色・にじみの比較

水彩色鉛筆は、そのまま色鉛筆のように描くだけでなく、描いた部分を水で溶かして、水彩のような表現も試せる画材です。
水の加え方によって、色の広がり方を変えられます。

参考:サクラクレパス「水彩色鉛筆の使い方」

例えば、花の輪郭は線のまま残し、花びらの内側だけを濡らした筆でなぞる使い方があります。
色鉛筆が好きな子が、水を使った表現も試したいときの候補になります。
水を使うため、紙も水彩に適したものを選びましょう。

工作への着色など、紙以外の素材に色を塗りたい場合は、アクリル絵の具が選択肢になることもあります。
ただし、塗れる素材や必要な下地処理は、製品と素材によって異なります。使用前に確認してください。

参考:ホルベイン「アクリル絵具」

アクリル絵の具は、水で薄めて使えても、乾燥後は水に溶けなくなる性質があります。
筆やパレットについた絵の具が乾く前に片付けられるよう、必要に応じて大人も手伝いましょう。

学年に応じて必ず必要なものではなく、制作の目的があるときに検討する画材です。

参考:ホルベイン「アクリル絵具は水で溶けるのに、なぜ乾くと水に溶けなくなるのですか?」

【表現別】子どもの「こんなふうに描きたい」から画材を選ぶ

描きたいものの表現例

画材の特徴が分かっても、実際にどれを選ぶか迷うことがあります。
そのときは、「対象学年」に加えて、子どもがやってみたい表現から考えてみましょう。

次の表は、ここまでに紹介した画材の性質をもとに、組み合わせの例を示したものです。
一つの表現に複数の画材を組み合わせることもできます。

表現したいこと画材・用具・紙の候補試してみること
大きな紙にのびのび描きたいパス、水彩絵の具、太めの筆面を広く塗る、腕を動かして長い線を引く
細かな模様や線を描きたい色鉛筆、細字の水性マーカー線の太さを比べる、小さな模様を繰り返す
自分で色を混ぜてつくりたい水彩絵の具、パスパレットで混ぜる、紙の上で色を重ねて混ぜる
やわらかい濃淡やにじみを出したい水彩絵の具、水彩色鉛筆、水彩紙水の量や紙の濡れ具合、色を重ねるタイミングを変える
違う画材を組み合わせたいクレヨンやパスと水彩絵の具先に描いた線の上から絵の具を塗り、どのようにはじくかを見る

クレヨンやパスで描いた部分が水彩絵の具をはじく性質を生かすと、「はじき絵」として楽しめます。
描き方や製品によって結果が変わるため、別の紙で確かめてから作品に取り入れるとよいでしょう。

参考:サクラクレパス「写真でわかるクレヨン・クレパスの違い」

試した結果が思いどおりにならなくても、すぐに修正する必要はありません。
「このにじみを何かに使えそう?」「こっちの線の方が好き?」と声をかけ、子どもが次の使い方を考えられるようにしてみましょう。
子どもが気に入った表現を見つけたら、同じ画材でもう一度試す時間をつくることも大切です。

画材と一緒に、紙や筆も選ぼう

紙の厚さや表面で、描き心地が変わる

画材が同じでも、紙が違うと線の出方や水の広がり方は変わります。
描きにくそうなときは、画材だけでなく、紙との相性も確認しましょう。

クレヨンや色鉛筆などを使い始める際は、一般的な画用紙が候補になります。
表面の凹凸によって色の付き方が変わるため、細かな線を描きたいときは、滑らかな紙も比べてみるとよいでしょう。

参考:マルマン「イラストに合う紙の選び方」

水彩絵の具で水を多く使ったり、色を塗り重ねたりする場合は、水彩紙も選択肢になります。
水彩紙には、表面の加工や厚み、凹凸が異なる製品があります。
にじみやぼかしを試しやすいものを選ぶこともできます。

参考:マルマン「スケッチブックで水彩画を描きたい!おすすめの用紙や描き方を解説」

最初から高価な紙に替える必要はありません。
水を含ませるとすぐに波打つ、同じ場所を塗ると毛羽立つなど、今の紙に困っていることがあれば、用途に合う紙を少量試してみましょう。

紙の色や大きさを変えてみる

画用紙、水彩紙、濃い色の紙、和紙など違いを比べている様子

白い紙は色の違いを確認しやすい一方、色の付いた紙には、その色を作品の一部として使う楽しみがあります。

例えば、濃い青の紙に白や黄色で星を描くと、紙の色を夜空として生かせます。
ただし、下の紙の色が透けやすい画材では、思ったように色が見えないこともあります。
使う紙の端で、どの色が見えやすいか試してみてください。

大きさも変えてみましょう。
腕を動かして描きたいときは大きめの紙、短時間で模様を楽しみたいときは、はがき程度の紙など、活動に合わせて選べます。

日本で受け継がれてきた和紙も、選択肢の一つです。
和紙には、水彩画用に調整された製品もあります。
素材や表面の加工によって、描き心地は異なります。
「和紙はすべて同じようににじむ」とは考えず、用途の表示を確認して、小さな紙から試してみましょう。

参考:アワガミファクトリー「竹和紙 水彩画用」

身近な紙と触り心地を比べたり、同じ線を描いて描き心地を比べたりすると、紙そのものの違いにも目を向けられます。
和紙を使った小さな季節のカードづくりなども、家庭で取り入れやすい楽しみ方です。

筆の太さや形を、描きたいものに合わせる

丸筆と平筆による描き方の比較

広い背景を細い筆だけで塗ろうとすると時間がかかり、細かな部分を太い筆だけで描こうとすると扱いにくくなります。
筆も、塗りたい範囲や描きたい線に合わせて選びましょう。

丸筆は、穂先を使って線を描いたり、筆を寝かせて幅を出したりできます。
平筆は、幅を生かして面を塗るのに適しています。
ただし、実際の使い心地は、穂の長さや硬さ、まとまり方によっても変わります。

家庭では、まず持っている筆で「広く塗る」「細く描く」を試してみて、足りない役割を補う選び方で十分です。
筆の号数だけでなく、実際の穂の大きさや、子どもが持ったときの扱いやすさも確認しましょう。

文部科学省も、意図に合う筆の太さや種類を選び、表し方を工夫することが大切だと示しています。

参考:文部科学省「水彩絵の具―授業中は」

家庭で使う画材を選ぶときの確認ポイント

学校で使うものは、指定を確認する

学校に持っていく画材は、購入前に学校からの案内を確認しましょう。
絵の具の種類や色数、ケースや道具の仕様などが指定されている場合があります。

家庭用は、学校の指定とは分けて考えるとよいでしょう。
学校と同じ種類を使って、使い慣れた感覚を生かす方法もあれば、家庭では別の画材を試す方法もあります。

学校用をそのまま家庭で使う場合は、次の授業で困らないよう、減った色を補充し、道具の状態も確認しておきましょう。

色数やセットの大きさは、使い方に合わせる

色鉛筆や水彩絵の具には、小学生・学童向けとして12色セットが用意されています。
家庭で最初のセットを選ぶなら、12色程度を候補の一つとして、必要に応じて色を足す方法があります。
ただし、これは始め方の例であり、12色がすべての子どもに最適という意味ではありません。

色を混ぜてつくることが好きな子もいれば、並んだ色から選ぶことを楽しむ子もいます。
色数の多さだけで創造力の育ち方を判断せず、本人がどのように使いたいかを基準に考えましょう。

画材セット

例えば、花の微妙な色の違いを描きたい場合は、色数を増やす理由の一つになります。
一方で、ほとんど使わない画材まで入った大きなセットは、収納や持ち運びの負担になることもあります。

購入時は、なくなった色だけを補充できるか、ケースに戻しやすいかも確認してください。
必要な分を補いながら使うことは、慣れた道具を長く大切に使うことにもつながります。

安全性と汚れへの対応を確認する

対象年齢や使用上の注意は、購入時と使用前に確認しましょう。
安全性に配慮された製品でも、口に入れたり、本来と異なる用途で使ったりしてよいわけではありません。

キャップや短くなった画材などは、小さなきょうだいが触れる可能性も考え、安全な場所に保管します。
また、指や手で直接描く場合は、その用途に適した絵の具を選んでください。
ぺんてるも、「ゆびえのぐ」以外の製品については、筆やハケで描くことを推奨しています。

参考:ぺんてる「えのぐ―ご使用上の注意事項」

汚れ対策は、描き始める前に整えておくと安心です。
机に敷くシートや汚れてもよい服、拭くための布、乾かす場所を用意しておきましょう。

水性の画材でも、衣服や壁の汚れが完全には落ちない場合があります。「後で洗えば大丈夫」と決めつけず、汚れてもよい環境を整えておくことが大切です。

手が汚れる感触を嫌がる子には、無理に触らせず、軸を持って描ける画材や筆を使う方法を用意します。
安全な使い方の範囲で、本人が心地よく取り組める方法を探しましょう。

子どもが取り出し、片付けやすいものを選ぶ

使った画材などを片付けをしている様子

使うたびに大人がすべて準備しなければ始められない場合は、画材の種類だけでなく、置き場所やケースも見直してみましょう。

よく使う画材と紙を同じ場所に置き、戻す場所を分かりやすくします。
また、濡れた道具を乾かす場所を決めるなど、家庭で使い続けやすい環境をつくりましょう。
小さな子がいる家庭では、取り出しやすさと安全な保管の両方を考えてください。

絵の具を使った後は、製品の案内に沿って、筆やパレットを乾く前に洗います。
片付けを一度に任せるのが難しければ、「今日はキャップを閉める」「次は筆を洗う」など、できる部分から担当してもらうとよいでしょう。

画材選びでよくある疑問

最初から色数の多いセットを買った方がよい?

必ずしも色数の多いセットを選ぶ必要はありません。
まずは基本的な色のセットを使い、足りない色が具体的に分かってから追加する方法があります。

ただし、色を選ぶこと自体を楽しんでいる子には、多色のセットが合うこともあります。
色数を一律に制限するのではなく、使いたい色や予算、収納のしやすさを踏まえて考えてください。

低学年には、まだ絵の具は難しい?

学年だけで使えるかどうかを決める必要はありません。
絵の具を出す、水を加える、筆を洗うといった工程を分け、大人が必要な部分を支えることで、子どもが取り組みやすくなります。

学習指導要領の解説でも、低学年で扱う材料や用具として、共用の水彩絵の具が挙げられています。
家庭でも、最初からすべてを一人で管理することを前提にせず、本人の経験に合わせて始めてみましょう。

参考:文部科学省「小学校学習指導要領解説 図画工作編」

高学年になったらクレヨンを買い替えるべき?

学年が上がったことだけを理由に、別の種類へ買い替える必要はありません。
使い慣れたクレヨンでも、線や色の組み合わせ、紙との相性を工夫できます。

手に持つには短すぎる、必要な色がなくなった、描きたい表現に別の性質が必要になったなど、具体的な理由が出てきたときに、補充や買い足しを検討しましょう。

絵が苦手だと言う子には、何を用意すればよい?

まずは、何を難しいと感じているのかを確かめてみましょう。
「思った色が出ない」「広いところを塗ると疲れる」「何を描けばよいか分からない」など、理由によって役立つものは異なります。

描く動作に負担があるなら、少ない力で色を出せる画材を試してみましょう。
また、塗りたい範囲に合った太さの道具を選ぶことも有効です。

題材が思いつかないなら、好きな色で線や点を置く、紙の上で色を混ぜてみるなど、完成形を決めない活動から始める方法もあります。

道具を買い替えるだけで解決しようとせず、描くことを無理に求めないようにすることも大切です。
本人がやってみたいことや、楽しめた部分を手がかりにしてください。

まとめ|学年を目安に、子どもの表現に合う画材を選ぼう

小学生の画材選びでは、学年ごとの目安に加えて、これまでの使用経験や扱いやすさ、子どもが表現したいことを総合的に考えることが大切です。

クレヨンやパス、色鉛筆、水彩絵の具などには、それぞれ得意な表現があります。
紙や筆との組み合わせまで考えると、今ある画材でも試せることが見つかります。

最初から多くの道具をそろえる必要はありません。
まずは本人が使いたいもの、扱いやすいものから始め、必要に応じて少しずつ足していきましょう。

大人にできるのは、安全に使える環境を整え、子どもが自分で選び、試す時間を支えることです。

でき上がった作品だけでなく、途中で見つけた色や使い方にも目を向けながら、その子らしい表現を楽しんでください。

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