小学生の書道セットはどう選ぶ?書写で使う道具と選び方を解説

小学校に入ると、鉛筆を使って文字を書く機会が増えていきます。
そして3年生になると、国語の書写で毛筆を使った学習も始まります。

筆に墨を含ませ、半紙に大きく文字を書くのが初めての子もいるでしょう。

鉛筆やペンとは異なり、筆は押さえる力や動かし方によって線の太さや形が変わります。
そのため、初めて毛筆に触れた子どもの中には、「面白い」と感じる子もいるでしょう。

一方、毛筆を使うようになると、文字を書くこと以外にもやることが増えます。

「道具を机の上に並べる」
「墨を準備する」
「半紙が動かないように文鎮を置く」
「使い終わった道具を片付ける」

気をつけていても、手や服に墨がついてしまうこともあります。

筆や硯など、普段の筆箱には入っていない道具も多いため、最初は道具の準備や片付けを難しく感じるかもしれません。

だからこそ、書道セットを選ぶときには、見た目だけでなく、次の点も確認しておきたいところです。

  • どのような道具が入っているか
  • 子どもが整理しやすいか
  • 学校へ持ち運びやすいか

この記事では、小学校の書写で毛筆を学ぶ意味や、書道セットに入っている道具の役割を解説します。

さらに、書道セットを選ぶポイントと、今回取り上げる書写セットの特徴も紹介します。

目次

小学校では3年生から毛筆を使った書写を学ぶ

小学校では、1年生から鉛筆などを使った書写を学びます。

文部科学省の「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」では、第3学年以上で毛筆を使った書写を指導することが示されています。

また、毛筆を上手に使えるようになることだけが目的ではありません。
毛筆による学習を、硬筆で文字を書く力にもつなげていくことが求められています。

学校では一般に「習字」と呼ぶこともありますが、教科の学習としては「書写」という言葉が使われています。

書写では、お手本と同じようにきれいな作品を作ることだけを目指しているわけではありません。

文字の形や組み立て方、文字と文字の間隔、漢字と仮名の大きさなどに注意しながら、文字を正しく整えて書く力を身につけていきます。

毛筆を使うと点や線の書き方が見えやすくなる

第3・4学年の書写では、毛筆を使いながら点画の書き方への理解を深め、筆圧などに注意して書くことが求められています。

「点画」と聞くと少し難しく感じますが、漢字を形づくっている一つひとつの線や点のことです。

たとえば、

「横画」
「縦画」
「左払い」
「右払い」
「折れ」
「曲がり」
「点」

などがあります。

鉛筆でもこれらの線を書きますが、毛筆を使うと、「筆を置く」「動かす」「止める」「払う」といった動きが、線の形に表れやすくなります。

同じ一本の線でも、筆を強く押さえれば太くなり、力を弱めれば細くなります。

そのため、毛筆は単に「大きな文字を書く道具」ではなく、文字がどのような動きからできているのかを確かめる道具でもあります。

鉛筆とは違う、筆で文字を書く面白さ

普段の生活では、鉛筆やシャープペンシル、ボールペンを使うことが多いでしょう。

それらと比べると、筆は少し不思議な筆記具です。

同じ筆を使っているのに、使う人や力の入れ方によって線の形が大きく変わります。

筆圧によって線の太さが変わる

鉛筆でも強く書けば濃くなりますが、筆の場合は筆圧の違いが線の太さにもはっきりと表れます。

筆を紙にしっかり押し当てれば穂先が広がり、太い線になります。

反対に、少しずつ力を抜いていけば線は細くなっていきます。

「どうして同じ筆なのに線の太さが変わるのだろう」

と疑問に思うかもしれません。

実際に書いてみると、筆が紙に触れる位置や力加減によって線が変化することが分かります。

「とめ・はね・はらい」は筆の動きとして見える

漢字を練習するときによく聞くのが、「とめ」「はね」「はらい」です。

鉛筆でも意識しますが、筆ではその違いがさらに見えやすくなります。

たとえば「はらい」では、最後まで同じ力で書くのではなく、少しずつ力を弱めながら筆を動かします。

一方、「とめ」では、線の終わりで筆を止めます。

完成した文字を見るだけでなく、

「筆をどこから動かしたのか」
「どこで力を入れたのか」
「どこで力を抜いたのか」

と考えてみると、文字を見る視点も変わります。

同じ文字を書いても一枚ずつ違う

毛筆では、一度書いた線を消しゴムで消すことができません。

同じ「大」という文字を何枚も書いても、まったく同じ形にはならないことが多いでしょう。

最初の一枚と次の一枚を並べてみると、

「横の線が少し長くなった」
「払いが前より伸びた」
「文字が半紙の中央に入った」

といった違いを見つけることができます。

上手か下手かだけを見るのではなく、前に書いた文字と比べて何が変わったのかを見るのも、毛筆を楽しむ方法の一つです。

書写の授業では準備と片付けも必要

毛筆の授業では、筆一本だけを使うわけではありません。

筆、硯、墨液、下敷き、文鎮、半紙など、いくつもの道具を机の上に準備します。

鉛筆とノートを出せば始められる授業と比べると、最初は準備するものが多いと感じるかもしれません。

どこに何を置くか決めておく

机の広さには限りがあります。

書道セットを開いて、硯や墨液、筆、半紙を何となく置いていくと、書いている途中で腕が道具に当たることがあります。

特に墨液の容器は、倒してしまうと机や服を汚す原因になります。

最初に、

「硯はここ」
「筆はここ」
「墨液はここ」
「書き終わった半紙はここ」

と置く位置を考えてみましょう。

道具の位置を決めることも、書写を始める準備の一つです。

墨を使うからこそ汚れにも注意する

毛筆を使っていると、知らないうちに手に墨がついていることがあります。

その手で服を触ってしまったり、机の周りに墨をつけたりすることもあります。

特に袖が長い季節は、筆や硯の上に袖口が触れないように注意したいところです。

墨を使うときは、墨液を置く場所を決め、必要な道具だけを机に出すことで、墨が周囲につくリスクを減らし、作業もしやすくなります。

片付けも次に使うための準備

書き終わったら、それで終わりではありません。

使った道具を確認し、次に使えるように片付けます。

筆などの手入れ方法については、学校の指導や製品の説明に従いましょう。

小学生の場合、最初からすべてを一人でできるとは限りません。

何をどこに戻せばよいのかを一緒に確認しながら、少しずつ自分で準備や片付けができるようになればよいでしょう。

小学生の書道セットは何を見て選ぶ?

書道セットには、さまざまな種類があります。

バッグのデザインに目が向きやすいですが、数年間使う可能性があるものだからこそ、中に入っている道具や収納方法も確認しておきたいところです。

学校で必要な道具がそろっているか

まず確認したいのは、学校の授業で必要な道具です。

一般的な書道セットには、

  • 太筆
  • 細筆
  • 硯
  • 墨または墨液
  • 文鎮
  • 下敷き
  • 水差し
  • 筆巻き
書道セット

などが含まれています。

ただし、学校によって必要なものや指定されているものが異なる場合があります。

書道セットを購入する前に、学校から配布された案内があれば内容を確認しておきましょう。

バッグの中を整理しやすいか

道具がすべて入っていても、バッグの中でバラバラになってしまうと準備や片付けに時間がかかります。

硯や筆、墨液など、それぞれをどこに入れるのか分かりやすいものなら、子ども自身でも整理しやすくなります。

今回紹介する書写セットには、中皿と半紙ファイルが付属しています。また、教材自立共和国の商品ページによると、すべてのデザインに墨液用の大きなポケットが付いています。

「全部入るか」だけでなく、どこに何を収納するか分かりやすいかという視点でも見てみましょう。

持ち運びやすさも確認する

書道セットは、家の中だけで使うものではありません。

学校へ持って行き、授業が終わったら持ち帰ります。

教科書やノート、水筒など、ほかの荷物と一緒に運ぶこともあります。

今回紹介している書写バッグにはショルダーベルトが付いているため、手で持つだけでなく、肩に掛けて運ぶこともできます。

書道カバン

購入するときは、バッグの大きさや持ち手だけでなく、子どもがどのように学校まで運ぶのかも想像してみるとよいでしょう。

また、今回のセットには「国産軽量硯 四五平」が入っています。

子ども自身が使いたいと思えるデザインか

機能と同じくらい、子どもにとって気になるのがバッグのデザインかもしれません。

「このバッグがいい」
「この色なら使ってみたい」

と、自分で選びたくなることもあるでしょう。

気に入ったデザインを選んだからといって、必ず書写が好きになるわけではありません。

しかし、これから何度も学校へ持っていく道具だからこそ、保護者だけで決めるのではなく、必要な機能を確認したうえで、子ども自身にも選んでもらうとよいでしょう。

見た目から選ぶことも、道具に興味をもつきっかけの一つです。

書道セットにはどんな道具が入っている?

書道を始める前は、「なぜこんなに道具が必要なの?」と思うかもしれません。

しかし、一つずつ見ていくと、それぞれに役割があります。

今回紹介する書道セットには、書写バッグを含めて10種類の道具が入っています。

書写バッグ

筆や硯、墨液などをまとめて持ち運ぶバッグです。

今回の商品には、半紙ファイル、中皿、ショルダーベルトが付いています。

バッグは単なる入れ物ではなく、授業の前後に道具を整理する場所でもあります。

使い終わったあと、

「筆はここ」
「硯はここ」
「半紙はここ」

と決められた位置に戻す習慣をつけておくと、忘れ物にも気づきやすくなります。

国産軽量硯 四五平

硯は、墨をするために使われてきた道具です。

学校の授業では墨液を使う場面も多く、墨液を入れて筆に含ませるためにも使います。

今回のセットには「国産軽量すずり 四五平」が1点入っています。

「四五平」という普段は聞き慣れない名前をきっかけに、「これは何だろう」と道具そのものに興味を持つのもよいでしょう。

太筆「古都」

大きな文字を書くときに使う筆です。

毛筆の授業で半紙に漢字などを書くときは、主に太筆を使います。

太筆は穂先に含ませる墨の量や、筆を紙に押し当てる力によって、線の太さが大きく変化します。

書道セットの中でも、実際に文字を書く中心的な道具です。

細筆「若菜」

太筆よりも細い文字を書くための筆です。

たとえば、作品に自分の名前を書く場面などで使われます。

「どうして筆が2本入っているの?」

と思ったら、太筆と細筆を並べて、穂先の大きさを比べてみるのもよいでしょう。

道具の形が違うのには理由があります。

罫線入りの下じき

今回のセットには、27×36cmの罫線入り下じきが付属しています。

下敷きは、半紙の下に敷いて使います。

机の上に直接半紙を置く場合と比べて、筆の当たり方も変わります。

また、罫線が入ったものは、文字を書く位置や大きさを考えるときの目安にもなります。

すみ

セットには固形の「すみ」も入っています。

硯に水を加えて固形墨をする方法は、墨液を注いですぐに書き始める方法とは異なる体験です。

学校でどちらを使うかは授業内容によって異なるため、先生の指示に従って使いましょう。

書道液K(180ml)

すぐに毛筆で書けるように調整された書道液です。

今回のセットには180mlのものが入っています。

墨液はこぼすと汚れやすいため、キャップを開けたまま机の端に置かないなど、置き場所にも気をつけましょう。

文ちん2本組

文鎮は、半紙が動かないように押さえるための重りです。

今回のセットは2本組です。

筆を動かしている途中で紙がずれると、書きたい線とは違う方向に動いてしまうことがあります。

文鎮は目立たない道具ですが、半紙を安定させる役割があります。

水差し

硯に少量の水を入れるときなどに使います。

「水ならコップでもよいのでは?」と思うかもしれません。

しかし、必要な量だけ水を加えるには、小さな水差しが便利です。

昔から使われてきた書道道具には、それぞれ使う目的に合わせた形があります。

筆巻きM

筆を包んで持ち運ぶための道具です。

今回のセットには29×20cmの筆巻きが入っています。

筆は、鉛筆のように筆箱へそのまま入れる道具ではありません。

使い終わった筆をどのように扱うかも、毛筆を学ぶ中で知っていくことの一つです。

今回紹介する書写セットの特徴

今回参考にしている教材自立共和国の書写セットは、書写に必要な道具をバッグにまとめた商品です。

商品ページでは、現在8種類のデザインが紹介されています。
バッグには半紙ファイル、中皿、ショルダーベルトが付属しており、墨液用の大きなポケットも付いています。
寸法は、持ち手部分を含めず、約340×90×高さ250mmです。

デザインを選べる

書道道具そのものには昔から使われてきたものが多くありますが、それを収納するバッグにはさまざまなデザインがあります。

学校用品というと、「学校で使うのだから何でもよい」と考えることもできます。

しかし、数年間使うことを考えれば、子どもが「これを使いたい」と思えるものを一緒に選ぶことにも意味があります。

保護者が必要な道具や使いやすさを確認し、最後に子どもがデザインを選ぶ。そんな決め方もできるでしょう。

なお、販売ページには、メーカーによる改良などにより商品の色や形状、仕様が変更される場合があると記載されています。購入するときは、その時点の商品情報を確認してください。

道具をまとめて収納できる

筆、硯、墨液、文鎮など、書写には形も大きさも異なる道具を使います。

中皿や墨液用ポケットがあれば、バッグの中で道具を分けて収納できます。

ここで大切なのは、「たくさん入る」ということだけではありません。

子ども自身が、

「これはここに戻す」

と分かることです。

整理しやすいバッグであれば、授業の準備や片付けを自分でするときにも役立ちます。

書道セットを長く使うために大切にしたいこと

書道セットは、一度使って終わりの道具ではありません。

学校の授業や書き初めなどで、何度も使う可能性があります。

長く使うためには、使い終わったあとの確認も大切です。

使い終わった筆を確認する

筆は、使ったままバッグに戻すのではなく、学校で教わった方法や製品の説明に従って手入れします。

毛筆にはさまざまな種類があるため、すべての筆を同じ方法で扱うのではなく、その筆に合った方法で手入れすることが大切です。

また、穂先がバッグの中で押しつぶされないように収納場所も確認しましょう。

硯や道具に墨が残っていないか確認する

書写では墨を使うため、硯や道具の周りに墨がつくことがあります。

使い終わったあとに一度確認しておけば、バッグの中のほかの道具へ墨が広がるのを防ぎやすくなります。

墨を見つけたときの扱い方についても、学校の指導に従いましょう。

バッグへ戻す前に道具を数えてみる

片付けるときに、

「太筆はある」
「細筆はある」
「文鎮は2本ある」
「水差しもある」

と確認する習慣をつけてみるのも一つの方法です。

これは単なる忘れ物確認ではありません。

自分が使った道具を自分で管理する経験になります。

最初から全部一人でやらなくてもよい

※ここでは、小学校3年生で初めて毛筆に触れる子どもを想定しています。

最初から、準備、文字を書くこと、片付けまでを完璧にできるとは限りません。

最初は大人と一緒に、

「次は何が必要かな」
「これはどこに戻すのかな」

と確認してもよいでしょう。

慣れてきたら、少しずつ子ども自身に任せます。

答えを先に教えるだけではなく、自分でバッグの中を見て考えてもらうこともできます。

書道セットは文字を書くための道具ですが、

必要なものを確認し、使ったものを元に戻して、次に使える状態にしておく

という経験にもつながります。

お気に入りの道具で、筆で書く時間を楽しもう

書写で大切なのは、かっこいいバッグを持つことだけではありません。

どれほど気に入った書道セットでも、それだけで文字が上手になるわけではありません。

しかし、これから何度も使う道具だからこそ、

「このバッグを使いたい」
「この筆で書いてみたい」

と思えるものを選ぶことは、書写に興味を持つきっかけの一つになるかもしれません。

そして実際に筆を使い始めたら、完成した文字だけでなく、書いている途中にも目を向けてみましょう。

  • 筆を強く押すとどうなるのか。
  • 少し力を抜くと線はどう変わるのか。
  • 前に書いた文字と比べると何が違うのか。

などを考えてみます。

「うまく書けた」「失敗した」だけではなく、違いに気づくことで、次に試してみたいことが見つかります。

文部科学省の学習指導要領でも、毛筆による書写を、普段の硬筆による書写の力につなげていくことが示されています。

筆で一文字を書く経験を通して、普段書いている文字を改めて見てみましょう。

「この横線はどこから始まっているのだろう」
「どうしてここではねるのだろう」

と考えることも、書写を学ぶ面白さの一つです。

必要な道具をそろえ、使い方を知り、自分で準備をして、自分の手で文字を書く。

お気に入りの書道セットと一緒に、筆で文字を書く時間そのものを楽しんでみましょう。

参考資料

教材自立共和国「全8デザイン 書写セット・書道セット」
文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編」

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