
子どもがお絵かきを始めるとき、どのような画材を用意すればよいのでしょうか。
画材売り場には、クレヨン、パス、色鉛筆、水性マーカー、絵の具など、さまざまな商品が並んでいます。「自然素材」「水で落とせる」「安全基準に適合」などの表示もあり、何を基準に選べばよいのか迷うこともあるでしょう。
未就学児の画材は、色数や価格だけでなく、子どもの年齢や発達、口に入れる可能性、手の大きさ、力の入れ方なども考慮して選ぶことが大切です。また、同じ年齢でも、手の動かし方や画材を使った経験、興味の向き方には違いがあります。
この記事では、幼稚園や保育園に通う未就学児を想定し、年齢、安全性、扱いやすさという三つの視点から、家庭で使う画材の選び方を解説します。
画材に触れることから、子どもの自由な表現が始まる
描いた跡が残ることで、表現が始まる
小さな子どもは、最初から何かの形を描こうとして画材を使うとは限りません。
手を動かしたところに線が現れたり、紙の上に色が付いたりすること自体を楽しむ時期があります。
同じクレヨンでも、強く押すと濃い線になり、軽く動かすと薄い線になります。速く動かしたときと、ゆっくり動かしたときでは、残る跡も変わります。
子どもは、こうした動作と変化の関係を、描くことを通して少しずつ経験していきます。

偶然できた形を何かに見立てたり、重なった色から別の遊びを思い付いたりすることもあります。
画材は、頭の中にあるものを描くためだけでなく、手を動かしながら新しい表現を見つけるための材料にもなります。
「選ぶ・試す・変えてみる」経験が表現を広げる
子どもは、色を選び、線を重ね、画材の変化を試す中で、自分なりの表現を広げていきます。
大人から見ると落書きのように見える線や色にも、手を動かす楽しさや、子ども自身が見つけた発見が含まれているかもしれません。
文部科学省の幼稚園教育要領では、感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにすることが示されています。
また、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の一つとして、さまざまな素材の特徴や表現方法に気付き、表現する過程を楽しむ「豊かな感性と表現」が挙げられています。
画材を選ぶときも、完成した作品だけでなく、子どもが自分で選び、試せるかという視点が大切になります。
自由に描く過程を大切にする
未就学児の描くものは、大人から見ると何を表しているのか分からないことがあります。
同じ線を何度も往復させたり、紙の一部だけを塗り続けたりすることもあるでしょう。
しかし、その動きには、線が重なる様子を見ている、描くときの感触を楽しんでいる、特定の色に興味を持っているなど、その子なりの理由があるかもしれません。
絵の形を整えたり、大人が正しいと思う色に塗り直したりする前に、子どもが何を面白いと感じているのかを見てみましょう。
粘土を握る、紙を重ねる、落ち葉を並べるといった活動も、子どもにとっては大切な表現です。
未就学児の画材を選ぶ3つの基本
未就学児の画材は、「年齢や発達」「安全性」「扱いやすさ」の3つの観点から考えると選びやすくなります。
年齢や発達に合っているか
商品の対象年齢は、最初に確認したい項目です。
ただし、同じ年齢でも、握る力や指先の動かし方、画材を使った経験には個人差があります。
年齢表示だけで判断せず、次の点も確認してみましょう。
- 画材を握り、紙の上で動かせるか
- 弱い力でも線や色を出せるか
- 画材や部品を口に入れる可能性があるか
- キャップやケースを自分で扱えるか
- 大人の説明を聞きながら使えるか
年齢別の画材紹介は、成長の早さや優劣を示すものではありません。
子どもの様子に合わせて、前の段階の画材を長く使ったり、少しずつ新しい画材を試したりして問題ありません。
安全に使えるか
未就学児は、画材を描く以外の目的で使うことがあります。
クレヨンを口に運んだり、マーカーのキャップを外して遊んだり、絵の具を顔や腕に塗ったりする場合も考えられます。
そのため、対象年齢だけでなく、パッケージに記載された注意事項や、保護者の見守りが必要かどうか、肌に使えるかどうかも確認しましょう。
クレヨンや色鉛筆など、子どもに身近な画材にも、専門家向けの製品があります。
画材の種類や見た目だけで判断せず、対象年齢や用途、使用上の注意を確認しましょう。
子ども自身が扱いやすいか
安全性の高い画材でも、子どもの力では色が出にくかったり、ケースの開閉が難しかったりすると、描く前につまずいてしまいます。
軽い力でも発色するか、手に合う太さか、自分で取り出して元の場所に戻せるかなども、使いやすさを左右します。
保護者にとっての片づけやすさだけでなく、子どもが自分で扱えるかという視点も持って選びましょう。
年齢別に見る画材の選び方の目安

次の表は、年齢ごとの画材選びの目安です。
実際には、子どもの発達や経験によって異なります。
商品の対象年齢を確認し、子どもの様子も見ながら判断してください。
| 年齢の目安 | 楽しみやすい動作や表現 | 画材の例 | 選ぶときの主なポイント |
|---|---|---|---|
| 1~2歳ごろ | 握る、動かす、点や線を描く、色を広げる | 太いクレヨン、フィンガーペイント専用の絵の具、大きな紙 | 口に入らない大きさ、折れにくさ、軽い力での発色、保護者の見守り |
| 3~4歳ごろ | 色を選ぶ、丸や線を組み合わせる、見立てて描く | クレヨン、パス、太軸の色鉛筆、水性マーカー、固形絵の具 | 持ちやすさ、色の選びやすさ、キャップやケースの扱いやすさ |
| 5~6歳ごろ | 表したいものに合わせて選ぶ、混ぜる、重ねる、材料を組み合わせる | 水彩絵の具、色鉛筆、パス、水性マーカー、色紙、和紙など | 画材同士の組み合わせ、準備と片づけ、単色での補充、安全な保管 |
1~2歳ごろ|握る・動かす・色が付くことを楽しむ
1~2歳ごろは、手を動かすと紙に跡が残ることを楽しむ時期です。
大きな紙を用意すると、手先だけでなく腕全体を使って描きやすくなります。
クレヨンは、太くて握りやすく、軽い力でも色が出るものが候補になります。
折れたり短くなったりしたものは、口に入る大きさになる可能性があります。
そのため、そのまま使わせ続けないようにしましょう。
商品ごとの対象年齢も必ず確認してください。
指や手で色を広げる場合は、フィンガーペイント専用の絵の具を選びます。
一般的な絵の具は、指で直接使うことを前提としていない場合があります。
専用製品であっても、使用できる部位やアレルギーに関する注意を確認し、大人が近くで見守ってください。
この時期は、画材を口に入れることもあります。
口へ運ぶ行動が続いている場合は、無理に画材を持たせず、使用を見合わせることも選択肢の一つです。
3~4歳ごろ|色や形を選びながら描く
3~4歳ごろになると、好きな色を選んだり、丸や線を組み合わせたりして、自分なりに形を表す姿が見られるようになります。描いたものを人や動物、食べ物などに見立てて話すこともあります。
クレヨンやパスに加えて、太軸の色鉛筆、水性マーカー、固形絵の具なども候補になります。
ただし、細い色鉛筆は握りにくく、硬い芯は弱い力では色が出にくい場合があります。
実際の持ち方や筆圧を見て選びましょう。
水性マーカーは、軽い力ではっきりした色を出せます。
一方で、キャップの管理が必要です。
使っている間は大人が近くで見守り、使用後は本体とキャップがそろっているか確認してください。
色数は、多ければよいとは限りません。選択肢が多いことを喜ぶ子もいれば、いつも同じ数色を好んで使う子もいます。まずは基本的な色がそろった扱いやすいセットから始め、興味に合わせて増やす方法もあります。
5~6歳ごろ|表したいことに合わせて画材を選ぶ
5~6歳ごろは、これまでの経験をもとに、描きたいものや作りたいものに合わせて材料を選ぶ機会を増やせる時期です。
水彩絵の具では、水の量や色の混ぜ方、筆の動かし方を変えるなどの工夫ができます。
色鉛筆で細部を描き、水彩絵の具で広い部分を塗るなど、異なる画材を組み合わせることも可能です。
白い画用紙だけでなく、色紙、段ボール、包装紙、和紙なども使ってみましょう。
紙の色や手触り、絵の具のにじみ方が、表現の一部になります。
日本で古くから使われてきた和紙や千代紙も、身近な紙との違いを感じられる材料です。
ただし、5~6歳になれば、どの画材でも一人で安全に使えるという意味ではありません。初めて使う画材は、大人と使い方を確認し、準備や片づけも一緒に行いましょう。
主な画材の特徴と向いている表現

画材には、それぞれ得意な表現があります。年齢だけで決めるのではなく、子どもが何を楽しんでいるかに合わせて選ぶことも大切です。
| 画材 | 表現の特徴 | 扱いやすさ | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| クレヨン | 線を描きやすく、広い面も塗れる | 握りやすい太さを選べる | 折れたものや短くなったものを放置しない |
| パス・オイルパステル | 面塗り、混色、重ね塗り、ぼかしがしやすい | 軽い力でも色が付きやすい | 手や机に付きやすく、作品もこすれやすい |
| 色鉛筆 | 細かな線を描きやすく、濃淡を付けられる | 芯の硬さや軸の太さに違いがある | 尖らせすぎない。削りかすを片づける |
| 水性マーカー | 軽い力ではっきりした色が出る | 発色をすぐに確認できる | キャップ、裏写り、衣服や家具への付着に注意する |
| 水彩絵の具・固形絵の具 | 混色、にじみ、濃淡を楽しめる | 水や筆の扱いが必要 | 容器の転倒、衣服への付着、使用後の洗浄に注意する |
| フィンガーペイント専用絵の具 | 指や手の動き、色と感触を楽しめる | 筆を使わずに表現できる | 専用製品を選び、使用できる部位を確認する |
| 紙・粘土・身近な材料 | 平面だけでなく、手触りや立体感も表現できる | 材料によって扱い方が異なる | 小さな部品、汚れ、素材の安全性を確認する |
クレヨン
クレヨンは比較的硬く、紙の上を滑らせながら線を描くのが得意な画材です。
先端を使って線を描いたり、横に寝かせて面を塗ったりできます。
未就学児向けには、持ちやすい太さや、軽い力で色が出るか、折れにくいかを確認します。太ければ必ず持ちやすいとは限らないため、子どもの手の大きさや握り方も見て選びましょう。
パス・オイルパステル
パスはクレヨンより柔らかく、紙に色が付きやすい画材です。
ぺんてるは、クレヨンは線描き、パスは面塗りを得意とする点に違いがあると説明しています。
パスは、色を重ねたり、指や布でぼかしたり、上の色を削って下の色を見せたりする表現にも使えます。
一方で、柔らかい分、手や机に色が付きやすく、完成した作品もこすると色が移ることがあります。
汚れてもよい敷物を用意し、作品の保管方法も考えておくと使いやすくなります。
色鉛筆
色鉛筆は細かな線や小さな形を描きやすく、力加減によって濃淡を変えられます。
クレヨンよりも細部を描き込みたい子どもに向いています。
ただし、芯が硬いものは、弱い力では色が薄く見えることがあります。
また、軸が細すぎると握りにくい子どももいます。
初めて使う場合は、太軸や三角軸を含め、子どもの手に合うかを確認しましょう。
鉛筆削りを使う場合は、大人が削るか、子どもが安全に扱える製品を選び、見守りながら使わせます。
芯を必要以上に尖らせず、削りかすを片づけることも大切です。
水性マーカー
水性マーカーは、強く押さなくても鮮やかな線を描きやすい画材です。
点を連続して付ける、長い線を描く、色を並べるといった動作を楽しめます。
選ぶときは、子どもが持ちやすい太さや、キャップの形、裏写りの有無、手や衣服に付着した汚れの落としやすさを確認します。
「水性」と表示されていても、家具や衣服から必ず落とせるとは限りません。
「洗濯で落としやすい」など、商品の具体的な表示を確認してください。
水彩絵の具・固形絵の具
水彩絵の具は、水の量によって色の濃さや広がり方が変わります。色を混ぜるだけでなく、にじませる、薄く重ねる、筆跡を残すなど、さまざまな表現を試せます。
チューブ入りの絵の具は、使う量を調整する経験につながります。
一方で、絵の具を出してパレットに並べたり、水を替えたりする準備が必要です。
固形絵の具は、必要な色を水で溶かして使うため、絵の具の使用量を抑えやすい特徴があります。
一概に優劣をつけられるものではありません。
子どもの経験や作業できる場所、片づけに使える時間などに合わせて選びましょう。
フィンガーペイント専用絵の具
フィンガーペイントは、筆を使わず、指や手で絵の具を広げて表現します。線や形だけでなく、冷たさ、柔らかさ、ぬるぬるした感触なども含めて楽しめる画材です。
使用する場合は、フィンガーペイント専用製品を選びます。
例えば、ぺんてるの「ゆびえのぐ」は、国際玩具安全基準ISO 8124-3と、フィンガーペイントに関するISO 8124-7への適合を明示しています。ただし、同社は手指以外の顔や体に塗ることを推奨していません。
「指で使える絵の具」が、必ずしも「顔や体に塗れる絵の具」とは限りません。
製品ごとに、使用できる部位を確認しましょう。
紙・粘土・身近な材料
画材を考えるときは、描く道具だけでなく、描く紙や組み合わせる材料にも目を向けてみましょう。
なめらかな紙と凹凸のある紙では、同じクレヨンでも線の見え方が変わります。
白い紙と色紙では、同じ色を使っても印象が異なります。
粘土なら、握る、つぶす、伸ばす、重ねるといった立体的な表現ができます。
段ボール、包装紙、落ち葉、小枝などの身近な材料も使えます。ただし、自然物に尖った部分や汚れがないかを確認し、小さな材料は誤飲や窒息につながらないよう管理しましょう。
子ども用画材の安全性を確認する
対象年齢と使用上の注意を読む
画材を購入したら、パッケージに書かれた対象年齢と使用上の注意を確認します。
幼児が使う場合は保護者が見守ること、描画以外の用途に使わないこと、口に入れないことなどが記載されている製品もあります。
説明を確認した後も、外箱や注意書きを保管しておくと、誤飲や肌への付着などが起きたときに、製品名やメーカーの案内を確認できます。

安全基準への適合表示を確認する
画材には、JISやISOなどの規格に適合していることを示す表示が付いている製品もあります。
海外製品の一部には、ACMIのAPマークが付いている場合もあります。
ACMIによると、APマークは、意図された使い方をした場合に、子どもを含む人に有害となる量の物質を含まず、急性または慢性の健康障害を引き起こさないと毒性学的に評価・認証された画材に表示されます。
一方、CLマークは、既知の健康上のリスクと適切な使用方法について、注意表示が必要な製品に付けられます。
ACMIは、小学校6年生以下の子どもにはCLマークの製品を使わせないよう案内しています。
ただし、どの表示も「どのような使い方をしても安全」「食べてもよい」という意味ではありません。
対象年齢や用途、注意書きと併せて判断する必要があります。
「自然素材」「食品由来」でも口に入れない
米や野菜、蜜ろうなどを原料の一部に使ったクレヨンも販売されています。
素材に魅力を感じて選ぶことはできますが、食品由来の原料が使われていることと、食べられることは別です。
ぺんてるは、同社の絵の具やクレヨンなどがISO 8124-3の基準を満たしているとした上で、食品向けの製品ではなく、口に触れる用途には推奨していないと説明しています。
「天然だから必ず安全」と考えず、対象年齢や原材料、アレルギーに関する表示、使用上の注意を確認しましょう。
参考:誤飲・誤食をしてしまった
小さな部品や折れた画材を放置しない
マーカーのキャップや短くなったクレヨン、色鉛筆の削りかす、小さな紙片などは、口や鼻に入る可能性があります。
消費者庁は、玩具による乳幼児の気道閉塞事故を防ぐため、4直径4cm以下の小さな物を乳幼児の手が届かない場所に保管するよう注意を促しています。
この注意は玩具について示されたものですが、画材の小さな部品を管理するときにも参考になります。
年上の子どもが使った画材や工作材料が、下の子どもの手に届くこともあります。
使用中だけでなく、片づけた後の床や机の下も確認しましょう。
肌に使う場合は専用製品を選ぶ
一般的な水彩絵の具やマーカーは、顔や体に塗ることを目的とした製品ではありません。
手や指に使う場合も、フィンガーペイント専用製品か、メーカーがその使い方を認めている製品を選びます。
安全基準への適合や「パッチテスト済み」と表示されていても、皮膚への刺激やアレルギーが起きる可能性はあります。
肌の状態を確認し、異常が見られた場合は使用を中止します。
大人・専門家向け画材は注意書きを確認する
大人向けの画材がすべて危険というわけではありません。ただし、専門的な表現や保存性を重視した製品の中には、幼児の使用を想定していないものもあります。
対象年齢が分からない画材や、成分・注意表示を確認できない画材、換気や特別な管理が必要な画材は、幼児には使わせないようにしましょう。
子ども向けに設計され、使用方法が明確な製品から選ぶと、判断しやすくなります。
扱いやすい画材を見分けるポイント
子どもの手に合う太さと形
未就学児向けには、太い軸や三角軸、転がりにくい形の画材があります。
一般的には、太い軸の方が手全体で握りやすい傾向があります。ただし、手の大きさや持ち方は子どもによって異なります。
店頭で試せる場合は、無理なく握れるか、紙の上で動かしやすいかを確認します。
試せない場合は、現在使っている鉛筆やクレヨンの太さと比べると選びやすくなります。

軽い力でも色が出る
芯が硬く、発色が弱い画材は、子どもが強く押し続けなければならない場合があります。
その結果、描くことよりも色を出すことに力を使ってしまいます。
一方で、柔らかすぎる画材は折れやすく、手や紙の周囲が汚れやすくなることがあります。発色のよさだけでなく、折れにくさや汚れにくさとのバランスも考えて選びましょう。
自分で準備と片づけができる
ケースが開けにくい、色ごとの収納場所が分かりにくい、必要な道具が多いといった画材は、大人の手助けが必要になります。
自分で取り出しやすく、使った画材を戻しやすいケースなら、描き始めるまでの負担を減らせます。
水彩絵の具の場合は、筆、水入れ、雑巾などを一つの場所にまとめておくと、準備しやすくなります。
準備と片づけも含めて、子どもが少しずつ関われるかを考えることが、扱いやすい画材を選ぶ一つの基準になります。
汚れの落としやすさを確認する
「水性」「水で洗える」「洗濯で落としやすい」は、同じ意味ではありません。
手からは洗い流せても、衣服や木製家具に色が残る場合があります。
商品説明を読み、手や衣服、床、家具など、どの場所の汚れが落としやすいのかを確認しましょう。
また、汚れが完全に落ちるとは限らないため、机に敷物を敷いたり、汚れてもよい服を着たりするなどの準備もしておきましょう。

買い足しや交換ができる
よく使う色だけが早く短くなったり、絵の具の一色だけがなくなったりすることがあります。単色で補充できる商品なら、セット全体を買い替えずに使い続けられます。
筆、水入れ、ケースなどを個別に交換できるかも確認すると、長く使いやすくなります。ただし、最初から長期間使うことだけを優先せず、今の子どもが扱いやすいかを第一に考えましょう。
紙を変えると表現の幅が広がる

大きな紙で腕全体を使う
小さな紙では、少し手を動かすだけで線が紙からはみ出してしまいます。
特に1~2歳ごろは、大きめの紙を用意すると、腕全体を動かしながら描きやすくなります。
床で描く場合は、紙が動かないように固定し、滑ったり転んだりしないようにしましょう。
壁面で描く場合も、使う画材が垂れないか、壁に色が移らないかを確認してください。
色や手触りの異なる紙を使う
いつも白い画用紙を使っている場合は、色画用紙、段ボール、包装紙、和紙なども加えてみるとよいでしょう。
紙の色が変わると、同じクレヨンでも色の見え方が変わります。
表面がなめらかな紙と、繊維や凹凸のある紙とでは、線のかすれ方や絵の具の広がり方にも違いが生まれます。
和紙には、楮、三椏、雁皮などを原料とした、さまざまな厚さや風合いのものがあります。
身近な画用紙との違いを手で感じながら、にじみや重なりを楽しむこともできます。
描くものと紙の組み合わせを試す
画材と紙には相性があります。
例えば、水を多く使う水彩絵の具には、薄い紙よりも厚めの紙が向いています。
水性マーカーを使うときは、裏写りしにくい紙を選ぶと、机を汚しにくくなります。
ただし、適した組み合わせだけを教える必要はありません。
薄い紙に水を含ませるとどうなるか、凹凸のある段ボールにクレヨンで描くとどのような線になるかなど、安全に試せる範囲で違いを比べることも、一つの体験です。
画材を創造力につなげる大人の関わり方の例
こども家庭庁の「保育所保育指針解説」では、子どもがさまざまな素材や用具に触れながら、イメージやアイデアを生み出せるように、環境を整えることが大切だと示されています。
家庭での関わり方に、決まった一つの正解があるわけではありません。
ここでは、画材を使うときの関わり方の例を紹介します。
子どもの性格や興味、家庭の環境に合わせて、取り入れやすい方法を試してみてください。

使う画材を少しずつ用意する
たくさんの画材を一度に出すと、選ぶ楽しさが生まれます。
一方で、どれを使うか迷ったり、画材を次々に出すこと自体が遊びになったりする場合もあります。
最初は、「クレヨンと数種類の紙」や「水性マーカーと色画用紙」など、2つほどの選択肢を用意する方法があります。
子どもが別の表現を試したくなったら、絵の具や異なる種類の紙を追加します。
画材の数を制限することが目的ではありません。
子どもが目の前にある素材の違いに気付き、選びやすくするための方法の一つです。
色や描き方を決めすぎず、子どもの選択を見守る

大人には、空は青、太陽は赤、葉は緑というイメージがあるかもしれません。
しかし、子どもが同じ色を選ぶとは限りません。
実際に見た色を正確に描く活動もあります。
一方で、自由に描く時間には、子どもが選んだ色や形をそのまま受け止めることができます。
「空は青でしょう」と直す代わりに、「この色を選んだんだね」と声をかけると、子どもが考えていたことを話してくれるかもしれません。
大人が先に見本を完成させると、子どもがそれを正解だと受け取り、自分の方法を試しにくくなる場合があります。
見本が必要なときは、完成形を示すだけでなく、別の小さな紙で画材の使い方を試してもらう方法もあります。
完成した作品だけでなく、試した過程にも目を向ける
作品を見たときに「何を描いたの?」と聞くのは、自然な関わり方です。
ただし、子どもが形のあるものを描いていない場合は、答えに困ることもあります。
そのようなときは、「この色が重なっているね」「ここはどうやって描いたの?」「水を増やしたらどうなった?」など、試した方法に目を向ける声かけもできます。
保護者が作品の意味を決めつけず、子どもの説明に耳を傾けると、子どもが描いている途中で気付いたことや工夫したことが見えてきます。
完成した一枚だけでなく、試し描きの紙や途中の作品にも、子どもの発見が残っています。
描きたくないときは、別の表現方法を試してみる
子どもが絵を描きたがらないからといって、創造的な活動に興味がないとは限りません。
細い画材を持つことが苦手、紙の大きさが合わない、何を描くか決めることが負担など、さまざまな理由が考えられます。
その場合は、大きな紙に太いクレヨンで描く、粘土に触れる、スタンプを押す、色紙を並べるなど、別の表現方法を試してみましょう。
落ち葉や小枝を並べたり、段ボールを組み合わせたりする活動も、表現の一つです。
無理に完成させず、短い時間で終えてもよいと考えると、別の日に子どもが自分から続きを始めることもあります。
未就学児の画材選びでよくある疑問
まとめ|年齢だけでなく、その子が安全に試せる画材を選ぼう
未就学児の画材は、対象年齢だけでなく、子どもの手指の発達や画材を使った経験、口に入れる可能性なども考慮して選びます。
1~2歳ごろは、握って動かすと色が付くことを楽しめる画材が候補になります。
3~4歳ごろは、自分で色や形を選べる画材を加えましょう。
5~6歳ごろは、水彩絵の具や種類の異なる紙などを組み合わせることで、表現の幅を広げられます。
ただし、これらはあくまで目安です。
子どもの様子と商品の対象年齢を優先してください。
安全基準への適合表示があっても、口に入れたり、顔や体にむやみに塗ったりしてよいわけではありません。
小さな部品は取り除き、初めて使う画材は大人と一緒に使うことが大切です。
画材を用意するだけで、創造力が育つわけではありません。
子どもが自分で色や素材を選び、試し、思いどおりにならないときには別の方法を考えられる環境が、その子らしい表現を支えます。
高価な画材や色数の多いセットにこだわらず、今の子どもが安全に扱え、もう一度使いたいと思えるものから選んでみましょう。
